スクロールの下の作業方法特別公開
2007年 02月 21日
でも昨夜は遅くまで仕事していたので、3時間あまりしか寝てない。なぜこんなに早く目がさめたのだろうと自分でも不思議だ。
午前中がんばって仕事したおかげでだいぶ仕事が進んだが、やっぱり3時間しか寝てないため、昼食を食べたら猛睡魔が・・・。睡魔にはめっぽう弱い私は、いさぎよくベッドへ。2時間ほど寝て起きたらもう夕方。今日は仕事を早めに切り上げよっと。
というわけで本日は早めのブログとなりました。
前回の日記でコメントをいただいたまーささんのご要望にお答えして、スクロールの下部分の作業方法をお見せします。と言っても、今回の楽器のこの部分は作業がもう終わったので、作業しているふりだけね。
前回の写真であったように、スクロールの正面からできるところまで丸ノミで彫っていきます。
その後はスクロールを万力から外して手に持って作業です。
まずは写真のような細くて長いナイフを使います。
私が使っているのは日本からもってきた彫刻刀。長手印刀という幅4.5mmの彫刻刀で、左右2つあります。一般の印刀を長めに研いでもOK。
この彫刻刀をペグボックス(糸巻き箱)の中を通してスクロールの下までもって行きます。
そして、横方向に削ります。つまり、ペグボックスを彫った後でないと、この部分は作業できないし、見えません!私はネック下の部分を鼻に押し付け、ペグボックスの両足の間からスクロールの下を覗き込むようにして作業しております。(←表現がやらしい!?)
この部分、ちょうど木の小口の部分ですので、少し水で濡らすと削りやすいです。(←あきらくんの豆知識!?)
ちなみにペグボックスからはみ出た部分は横から彫刻刀を滑り込ませるようにして削ります。手を刺さないように!
仕上げの前にヤスリがけ。こんな便利なヤスリがあります。細か~い鬼目ヤスリで、先がいい感じで曲がっております。
これをさしこむと、奥まで届~く。
ちなみに、このヤスリ、今回使うの忘れてた・・・。今思い出したところです。とほほ・・・!
さて、いよいよ仕上げです。もちろんスクレーパーはこの部分には入りません。
紙ヤスリを丸めて細長い丸棒にします。これで大半はOK。奥の部分はこの丸棒を平たくつぶして作業してもいいのですが、平たい分折れ曲がりやすいです。紙ヤスリの丸棒をもっと細くする必要があるのですが、これも強度が落ちて折れ曲がります。
そこで私はつまようじを芯棒にして紙ヤスリを巻いています。これだと力も入れられ、折れ曲がりません。先から芯のつまようじが頭を出してスクロールを傷つけないように少し引っ込めて作業します。先が切れなくなったら、つまようじを少し引っ込めて先の紙やすりだけハサミで切れば短くなるまで使えます。
参考になりましたでしょうか?あきらくんの丸秘テクニック大公開でした。(←大げさです)
先人や師匠たちも「秘密」のテクニックで作品を作っているんでしょうね。
高橋さんのように気前のいい人はいないでしょうが、ちょっと覗いてみたいものです。
僕はいつもテキトーにその場でコチョコチョと仕上げてしまうので、進歩がないのかもしれません。っていうか、もっと作らないとね。
いつも教えてもらうばかりなので、こんどは何か僕のネタを探さないとね。
ありがとうございました。
パフリングとか製作者の思いが伝わってくる気がします。
ライオンヘッドや人の顔まであるのはびっくりしましたが。
そういえば、大学のサークルの後輩に「このライオンの舌を引っ張ると音程が変わる」と言ったら本当に信じてました(笑)。
本当の秘密は、師匠の仕事場に弟子入りして学ぶものです。といっても、これも別に秘密ではなく、ただ言葉で表せないものというだけです。日本の師弟関係では、「言葉で教えない、見て盗め」という言葉がありますが、これもそれを表しているのでしょう。
私が最近思うのに、これでも十分でなくて、その上に、自分で考えて、感じて、理解して納得できるのが一番重要だと思います。これが一番大変だと思います。ここまでできて一人前でしょうかね。最近私の一番足りないことを考えていて、こう思いました。
「ライオンの舌」の話、笑わせていただきました。使わせていただきます。(笑)
菊田さんブログにあったように、ネコパンチが出るというのもおもしろいですね。個人的な好みとしては、ライオンヘッドよりも、猫の手(肉球付き)で、触ったら肉球がぷにぷにしているのがいいです。(笑)シリコンで作れないか!?(←本当に作ってしまいそうで恐い!)
日本の刃物は片刃で、表裏があり、左右2対そろえないといけないので大変ですね。洋物の刃物は両刃ですので、1本でいいです。イタリア人の友達は、「日本の工具はもともと値段が高いのに、2本そろえないといけないのは大変だね~!」と言っておりました。(笑)
第2作目のヴァイオリンがんばってくださいね。
そうですね~、スクロールの下なんて、めったに見ない部分ですよね~。こんな目立たないところにも製作者はこだわって作っていることを、このブログで知っていただければ、わたしもがんばっている甲斐があります。いつかは誰かに評価してもらえるのではないかな~と、はかない希望を持ちつつ仕事しております。(笑)
肩当の件、楽器に何かを取り付ける(または接触させる)と、必ず楽器の響きは変わります。ただ、それがどの程度の問題かというのも重要ですね。それはともかく、肩当は多くの演奏者が(演奏しやすくするために)必要とされているものですし、多くの楽器は肩当をつけても良い音を出していますし、楽器製作者は(肩当を使っても)よい響きがするような楽器を作りたいと思います。