人気ブログランキング | 話題のタグを見る

正月休みにやっていたこと

クリスマスと正月にかけて、クレモナは意外と暖かい日が続いておりましたが、1月中旬に入って寒くなってきました。
新年に入ってから、新しいブログネタもまだなく、今回はお正月休みにやっていたことをご紹介しますね。仕事に関係することですが、少しお遊びです。

まずは、豆カンナのセットを新調しました。ヴァイオリンの表板・裏板の膨らみを削るための小さいカンナです。
小さいカンナなので、すぐにどっかいったり(笑)、ごちゃごちゃになってわかりにくくなります。
そこで、手元にとってあった空き箱を使って豆カンナ収納箱を作ってみました。

箱は、一眼レフカメラの箱(中身はもう無い!)。 なかなか豪華な箱なので、捨てずに取ってありました。
正月休みにやっていたこと_c0108014_82633.jpg


中を開けると、整然と豆カンナが並んでおります。箱から見ると純金のカンナみたいですが、ただの真鍮製です。
化粧布の下は発泡スチロールを切り抜いて、所定の位置に豆カンナがはまり込むようにしてあります。
正月休みにやっていたこと_c0108014_8271672.jpg


わ~、キレイ~! 宝石箱みたい~!!(←自己満足)
正月休みにやっていたこと_c0108014_8281038.jpg


豆カンナの刃も工夫しました。
まずは、手元側の先を丸めました。使用時に手に当たっても痛くありません。
正月休みにやっていたこと_c0108014_8291396.jpg

そして、注目は櫛歯の刃です。櫛歯は、刃先に櫛のように溝が切ってあって、逆目が出にくいカンナ刃です。(上の写真の右から1番目と3番目が櫛歯の豆カンナです)
通常のカンナと、刃先以外は全く同じなので、どちらなのかは毎回いちいち刃先を確認しなくてはなりません。
そこで、櫛歯カンナ刃の手元に、刃先のようなキザキザの切り込みを入れました。これで一目瞭然です。
正月休みにやっていたこと_c0108014_8303483.jpg





もうひとつは、ヴァイオリンとヴィオラのコントラフォルマ(表板・裏板の作業台)のあて布を交換しました。
昨年までは、蛇革模様の合成皮革を貼ってあったのですが、長年の使用でぼろぼろになってしまったので、新年ということもあり貼りかえることにしました。(蛇年も終わったしね!)
新しい布は、ワインレッドのベルベット! 切り抜いてから気付いたのですが、この生地切り端がほぐれて来やすくみっともないので、急遽布の回りを黒色コーキングシリコンで固めました。

これは、ヴァイオリン用コントラフォルマ。
正月休みにやっていたこと_c0108014_831863.jpg


そしてこれは、ヴィオラ用コントラフォルマです。
正月休みにやっていたこと_c0108014_8313011.jpg

わ~、キレイ~! 王宮の玉座みたい~!!(←さらに自己満足)

さらに、オプションの自在万力に取り付けると・・・、
正月休みにやっていたこと_c0108014_832629.jpg


自由な角度でコントラフォルマを固定できます。
正月休みにやっていたこと_c0108014_8323514.jpg


ヴァイオリンの裏板を取り付けると、こんな感じ。
正月休みにやっていたこと_c0108014_832581.jpg


よく考えると、きれいなあて布も作業中は隠れて見えないのね・・・!


今回は、工具の整備というお話でした。でも、ほとんど自己満足の世界ですが・・・(笑)!
でも、この自己満足がいい仕事につながっていくと思います。・・・たぶん。
この豆カンナとコントラフォルマで、今年はもっともっといい仕事するぞ~!!
Commented by ゆい at 2014-01-16 14:25 x
あ、明さま、どうしたのですか(^^)? この更新頻度! ファンには嬉し過ぎます〜\(^o^)/
他にもそういう方がいらっしゃるみたいですが、私もついつい(笑)毎日見にきて「まさか、まだ記事はないよね。でもどなたかのコメントがあるかも」と思って開けてみたら、嬉しいビックリです!

カンナが並んだ姿は金の延べ棒に見えました(^。^)! ワインレッドもワインも好きなので、ベルベットの生地も素敵です!
益々、素敵な製作が出来ますね(*^^*)
楽しみです〜。
Commented by junjun at 2014-01-17 07:24 x
高橋さん、こんにちは!
カンナの箱、本当に素敵で蓋を開ける度にウットリですね!
仕事道具を大切に綺麗に使う事が、より良い仕事を生み出す、、、
学生時代に先生に言われた言葉を思い出しました。私もしっかり見習いたいと思います。
真鍮を削ったりするのは、技工用エンジンがあるのですか?バイオリンは勿論ですが、こういったお仕事場の写真にも、すごく興味深いです。
ここから、楽器がうまれるんだなーって思いながらみるとワクワクしますね。😄
素敵な写真UP有難うございました!!私もお仕事がんばりまーす。😄
Commented by 高橋明 at 2014-01-18 14:35 x
ゆいさまこんにちは。いつになく高頻度の更新、驚かせてしまってすみません。まぁ、そんなにしょっちゅうはないかと思いますので、ご安心ください。(笑)
冗談はおいといて、毎日楽しみにしてくれている人がいると思うと、嬉しい限りです。
これからも仕事にブログにがんばっていきますので、楽しみにしていてくださいませ。
今年の目標の一つは、ホームページ再開です!!(←3年前からの持ち越し目標ですが・・・)
Commented by 高橋明 at 2014-01-18 14:46 x
junjunさま、こんにちは。私の余暇仕事も楽しんでいただけて幸いです。でも普段の私は作業机の上も仕事の忙しさにかまけて、とっ散らかっております・・・(笑)! いい仕事をしたいという想いと、仕事の忙しさの間で板ばさみになっていることが多いのですが、いい仕事をする人を見ると、普通に両立できているのですごいと思います。一度見せてもらったjunjunさんの仕事場、清潔感があってキレイで片付いていましたよ。もちろん仕事の段取りもテキパキしていて、すばらしかったです。
そうそう、junjunさまの職種も技工用エンジンを使いますよね。私のはもっと単純なハンドルーターですが、金属加工するには便利です。普段木材しか扱わないヴァイオリン製作者も、時には工具整備のために金属加工することもあります。鋳造も自分でできたら、豆カンナも自分で作れるのですが・・・! やってみたいけど、今は無理なので、老後の楽しみににとっておきたいと思います。(笑)
Commented by スーさん at 2014-01-20 15:19 x
美しい道具とクレイドル、見とれてます!
Commented by シカ at 2014-01-20 21:34 x
今年は更新が頻繁ですね。(天変地異の発生に心配しております(笑)。私達の平穏な生活をお守り下さい。)
ミニカンナ、触ってみたいです。ちょっと木を削ってみたいです。どんな感じなのでしょうかねぇ?演奏家が楽器にこだわる様に、製作家も工具にこだわったりするのでしょうか?「本場、堺の職人さんが造った包丁」みたいな感じで、「どこどこ製のミニカンナでないと、私の楽器造りには適さないんだぁ!」なんてあるのでしょうか?重さとか形状とかで、繊細な木の削り方に影響がありそうな感じを素人の私は持っています。それとも、色々な材質の木材から素晴らしい楽器を創り出してしまう高橋さんにしてみれば、あくまでもミニカンナは、ミニカンナであって最後は「腕前」なのでしょうか?うぅ~ん、腕前かなぁ?
「コントラフォルマ」、Vn用もVa用も中央に5つの穴?があるみたですが、どんな意味があるのでしょうか?幼稚な子供みたいに疑問文の多いコメントになってしまいたね。御手隙時に教えて頂けると嬉しいです。
では、新調のミニカンナとコントラフォルマで、素晴らし楽器製作にお励み下さいませ。私の楽器、高音が特に素晴らしです。ありがとうございます。
Commented by 高橋明 at 2014-01-21 06:26 x
スーさんさま、こんにちは。楽しんでいただけてなによりです。
初めはぴかぴかで美しい工具でも、使っているうちに汚れたり古くなってきますが、これもヴァイオリンと同じで味がでてくると思います。いい工具は古くても機能美がありますよね!
Commented by 高橋明 at 2014-01-21 06:37 x
シカさま、こんにちは。天変地異が起こるとしたら、日本なのかイタリアなのか?! 歴史上珍しい高頻度更新から考えると、地球規模の天変地異かも?
製作者も工具にこだわりますが、高価な工具というよりは、手になじむ工具がいいですね。 使いやすい工具は、なによりも自分が使い慣れた工具だったりします。実際今回豆かんなを新調しましたが、直後に作業に使用したのはやっぱり古い使いなれたカンナだったりします。使い慣れた工具があっての腕前になるでしょうね。
コントラフォルマの穴は、万力に固定するためのねじ穴です。9枚目の写真では、4つの穴にねじが入っております。中心の穴は別の万力用です。ヴァイオリンとヴィオラを同時進行する場合は、その都度つけたり外したりしないといけないので、ねじの取り外しがめんどくさいのですが、最近買った電動ドライバーが便利です~。
昨年秋のメンテで、魂柱を少し動かしましたので、高音に深みが出ましたよね。 また演奏会でご活躍してくださいませ。
名前
URL
削除用パスワード
by akiravln | 2014-01-16 08:37 | 工房日記 | Comments(8)

イタリアのクレモナで活動しているヴァイオリン製作工房


by akiravln