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双子ヴァイオリンのご紹介

今回は、2020年に製作した2台のヴァイオリンを紹介致します。

これらは同時進行で製作した双子、それも全く同じ材料(同じ木の隣同士の材料)から同時に製作した一卵性双生児です。
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実際、作りはもちろん、外観や音色もほぼ差は無く、製作している私自身も作業中に何度も見分けるのに苦労する程でした。
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この、そっくりな双子を離ればなれにするのは可哀想な気がし、せめて所有される方が決まるまでは一緒にいさせたいとの想いで、宮地楽器にお願いする事に致しました。
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もし、2台ともご購入いただけるお客様がいれば、『ふたりのロッテ』の話の一卵性双生児の姉妹みたいに、仲良く弾いてもらえるのではないか、と希望もありましたが、現実には叶う事は無いと思っていました。
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ところが、先日来店されたご家族が同時に2台をご購入されたのです。

始めは中学生のお兄さんが分数サイズのヴァイオリンから大人用のヴァイオリンに変わるということで私のヴァイオリンに白羽の矢が立ったのですが、宮地楽器にはこの双子ヴァイオリンがあり、どちらにするかご家族全員でご来店されました。
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ところが、お兄さんと妹さんの意見が分かれて、それならばいずれ大人用ヴァイオリンになる妹さんの分も買ってしまおうということになりました。

はからずも私の願っていたような形になったこと、夢が現実となり、奇跡のように感じております。これでこの2台のヴァイオリンも末永く一緒に居られ、兄妹の息の合ったデュエットを耳にするのも遠い未来ではないでしょう。
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木材から、この世に楽器として誕生したヴァイオリン。その後の運命を考えると、人も楽器も不思議な巡り合わせがあるのだと感じられる出来事でした。
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Commented by Junjun at 2022-05-23 06:18 x
明さん、こんにちは

双子ヴァイオリンの話とても興味深く拝読いたしました。とてもそっくりな美しい楽器ですね。

しかし、双子で似ていても、奏でる音が少し違うって事でしょうか?ご兄弟で意見が違ったとのこと。
それとも、何か不思議な力があったのでしょうか。

ご兄弟と家族さんと会った時、楽器サイドも意志をもち何かサインを送ったのかも、、、

いずれにせよ、このような事は滅多にないだろうから、楽器も兄弟さんも、ご家族さんも
末永く幸せで、楽しい時間を過ごしていく事を願います。。楽器製作者さんは、楽器の親の気持ちで見守っていくのですね。
ほっこりしたお話有難うございました。
Commented by akiravln at 2022-05-24 04:11
Junjunさま、どうもありがとうございます。
そうなんですよ。作りも音もほとんど一緒なのですが、わずかに音色に差があったのです。
先に完成したお兄さん楽器がほんの少し落ち着いて柔らかい音色、後に完成した弟くん楽器がほんの少し元気で明るい音色でした。ほとんど同じですがほんの少しの違いがあり、きっと双子の兄弟でも取り合いになることはないだろうと確信しておりました。
きっと、ご兄妹さんのお兄さんがお兄さん楽器、妹さんが弟くん楽器を選ばれたのだろうと想像していたんですが、まさにその通りだったようで改めてびっくりしております。
Commented by S at 2022-05-24 20:23 x
初めてコメントさせて頂きます。
こちら購入させて頂きました、Sでございます。
M先生からご紹介頂きまして、高橋先生の双子ヴァイオリンに出会うことが出来ました。
初めて音色を聴いた時に、落ち着いた男の子ヴァイオリンと、明るい女の子ヴァイオリンのように感じ、子供達もそのように感じたようでした。妹には、数年後にまたご縁があればね、と話しましたが、大変名残惜しそうにしていたのと、なぜかこの双子ヴァイオリンは、一緒に居させてあげたいと感じ、今回思い切ってご縁を頂くこととなりました。この度ブログを拝見し、高橋先生の想いを知り、家族で感動しております。不思議なことってあるんだなあとしみじみ感じております。数年後に、双子ヴァイオリンを奏でる二人の音色を聴くという新たな楽しみが出来ました。いつかクレモナにお邪魔してご挨拶させて頂ければ幸いです。本当に有難うございました。
Commented by akiravln at 2022-05-25 06:42
Sさま、コメントありがとうございます。そしてこのたびは大変ありがとうございました。Sさまご家族や宮地楽器、M先生にも喜んでいただけて嬉しいですが、誰よりも一番喜んでいるのが製作者である私です。
ブログ本文にもある通り、製作中から別々に買われて離れ離れになってしまうのが残念で、できれば2台一緒にご購入していただければいいなと思っていました。しかしそんなことを宮地楽器さんにお願いできるわけもなく(より売りにくくなってしまうため)、誰にも言えず心の中で願っているだけでした。
そんななか、まさに私が願っていた通りにご兄妹さまに使っていただけることになり、製作者冥利に尽きます。そして私以上に今回の双子ヴァイオリンたちも喜んでいることでしょう。
ご兄妹さまと一緒に、同時に生まれた楽器たちも成長していくことだと思います。私もお二人の息の合った合奏を聴くのを楽しみにしています。
クレモナにもぜひいらしてください。楽しみにお待ちしています。
Commented by シカ at 2022-05-26 07:09 x
高橋さん
ご無沙汰してます。大変に素敵なオーナーさまに双子のヴァイオリンをお渡しする事ができて、製作家としても嬉しい限りではないですか?
お子様方も、双子のヴァイオリンたちも、すくすくと良い成長をして頂きたいですね。なんか、お子さん達、すごくすごく笑顔が素敵だなぁ。これから楽器の演奏とお勉強、どんどん頑張って頂きたいですね。こらゃ、製作家も幸せだぁ!
私の楽器にも妹のViolaちゃんがおりますよね。プロの演奏家にパガニーニを奏でられていた演奏会を聴きに行きましたよ。いつか、楽器の大家族で集合してみたいですね。うん、お子さん達、本当に嬉しそうだぁ!
高橋さんの益々の御活躍、これからも応援しています!お体に気を付けてお励み下さい!
Commented by akiravln at 2022-05-29 16:55
シカさま、こんにちは。
もちろん、きっと誰よりも製作者の私がうれしいです。
なによりも励みになります。
これからもがんばりたいと思います。
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by akiravln | 2022-05-23 02:26 | 工房日記 | Comments(6)

イタリアのクレモナで活動しているヴァイオリン製作工房


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