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ハンガリーで開催されたヴァイオリン製作コンク―ル

6月29日から4日間、ハンガリーのブダペストで開催された国際ヴァイオリン製作コンクールに行ってきました。

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一緒に行ったのは、クレモナの先輩がた(シメオネ・モラッシさんとステファノ・コニアさん)です。どちらかというと、私がついていった!
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ハンガリーのブダペストで開催された国際ヴァイオリン製作コンクール、正式名称は第1回ネメッサニー・サミュエル国際ヴァイオリン製作コンクールといいます。なんといっても特徴は、特定のヴァイオリンにそっくりに作り、そのそっくり具合を競うという変わった(というか前代未聞の)コンクールです。

特定のヴァイオリンというは、コンクールの名前にもある、ネメッサニー・サミュエルが1865年に製作したヴァイオリン。「ハンガリーのストラディヴァリ」と呼ばれている(らしい)。
一般的にはあまり知られていない製作者なので(私も初めて聞いた)、どの参加者も同じ条件で参加ということになります。
こんな珍しいコンクール、参加しないと損!ということで参加してきました。

この写真はコンクール側から送られてきたオリジナル楽器写真。

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コンクール側からはオリジナル楽器の高精度写真と、参加申し込みすると大型カルテやテンプレートが送られてきます。
各参加者は、これらの資料を基にコピー製作するのです。
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んで、どんなのが出来たかというと、
各写真で左がオリジナル楽器、右が私がコピーした楽器です。
写真撮影したのが提出までまだ時間があったので、この写真をもとにより傷などを似せました。
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どんなもんでしょうか~。似てる?

ネメッサニー・サミュエル国際ヴァイオリン製作コンクール、コンクール事務局によると、今回の開催は参加申し込みが70台、実際に提出された楽器は36台とのことです。
本来は2020年秋に開催予定だったのが、コロナのために2回延長されたため、参加数も少なくなったようです。
6月30日から開催されたコンクール展示会には、少し似ているやつからすごく似ているやつまで、同じようなヴァイオリンが36台展示されるという変わった展示会になりました。
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展示の並びはコンクール順位と関係ないようですが、順位ごとに横一列に並べて展示したら、より面白い見応えになったのにね。


私の楽器は入賞の上位3位には残れなかったものの、ファイナリストの10台には残ったようです。コピーばかり専門の腕に覚えのある参加者が多い中で、コピーは稀にしかしない私にしては大健闘です。

コンクール展示会での、オリジナル(本物)と私のコピー楽器との記念写真です。すでにどちらがどちらかわからなくなってきております!
どちらがどちらか、わかりますか~?!唯一の違いはオリジナルにはあご当てがついていないことだけ!
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ネメッサニー・サミュエル国際ヴァイオリン製作コンクールの結果発表です。
1位はLiu Xiao Wei (中国)
2位はFrago-Thokoly Marton(ハンガリー)
3位はAlexandre Beaussart(フランス)
でした。
1位の中国人はハンガリーで活動している人のようです。
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展示会の写真では、同じガラスケースの中でオリジナル楽器の下に優勝者の楽器が展示されてあります。

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みなさん、本物の雰囲気を出すのがうまいな~。
私には、1位よりも2位の楽器の方が本物に近く見えました。




Commented by シカ at 2022-07-21 10:54 x
高橋さん、こんにちは! なんか、珍しいコンクールがあるのですね。「そっくりさん」を作るって、審査の対象は「外見」だけなんですか? 「音質」は対象外なんですか? コンクール側から送られてくるのが写真とあっては、音はわからないですよね。外見を真似た楽器の「音の違い」も興味があるなぁ。。。
で、優勝された方には申し訳ないですが、「お国柄、コピーが得意」なのですかね(冗談です。ゴメンナサイ)。
コンクールから戻ってきた高橋さんのヴァイオリンは、どうされるのですか?高橋明ブランドで、、、大切に保管されるのですかね。
なんか、一風変わったコンクールの紹介をして頂き、ありがとうございました!
Commented by akiravln at 2022-07-25 02:37
シカさま、こんにちは。
審査は、製作者審査員が10台を選び、その中で演奏家審査員が弾いて音を聴いて順位を決めたようです。私の楽器は10台には入っていたそうですが、上位三位には残れなかったようです。
優賞した中国人はハンガリーで活動しているようです。やっぱり自国の人は本物の実物を見れるところにいるので有利ですね。
私の楽器は先日無事戻ってきましたが、当分の間は手元に置いて、より実物に近づけるように手を入れたいと思っております。
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by akiravln | 2022-07-12 18:38 | 工房日記 | Comments(2)

イタリアのクレモナで活動しているヴァイオリン製作工房


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