バスバー取り付け&胴体組み立て
2007年 02月 26日
写真はバスバーの取り付け作業。

この作業、表板・裏板の剥ぎ合わせのニカワ接着の時もそうですが、冬の寒い時の作業はしにくいのです。室内温度25度を下がると、ニカワがすぐに冷えてゼラチン状になり、そうなるとうまく接着できません。特に曲面上に接着するバスバーは、ゼラチン状になったニカワで「にゅるっ」と滑って簡単に位置が変わってしまいます。私もこの作業ではアルコールランプとドライヤーをフル活用して接着部分を暖めながらの作業です。早く夏になりた~い!
バスバーも所定の形状に仕上げて、いよいよ胴体の組み立てに入ります。
その前に横板の最終仕上げ。今回3台同時進行というのもあって、同じ型で内型枠と外型枠の両方を使いました。

右が外型枠、左が内型枠です。どちらも、長所・短所があり、どちらがいいとは一概に言えません。詳しい特徴は、長くなるのでまた次の機会で! 古くからあるクレモナ伝統の方式は内型枠。現代のクレモナでは使っている人は半々くらいでしょうか。ちなみにビソロッティさんは内型枠、モラッシさんは外型枠です。欲張りな私は両刀使いです(笑)!
箱を閉じる前に、よーく内部を仕上げたいので時間がかかっております。難しい作業ではないですが、なかなかぱっぱっとは終わりません。プラモデルの組み立てみたいにはいかないね!
でも表板や裏板が枠のサイズと違う場合はどうするんですか?
ストラドやアマティではサイズも形も異なりますよね?
それとも、いろいろなサイズの枠があるんでしょうか?
もっちろんろん、別のタイプ(アマティやガルネリ)では別の型枠を作る必要があります。
ストラディヴァリのヴァイオリンでも12の微妙に異なる型があります。全部作るとすると、12個の異なる型枠が必要なわけです。
私が今回使っている型は1703年のストラディヴァリ型です。クレモナに来てから作った型枠はもう12個になりますよ。
ますます楽器と製作者に敬意を払わねば。勉強になります。
ご質問にお答えしますね。自分のモデルを持つかどうかは人によりそれぞれです。気に入ったモデルがもうすでにあればそれを模倣することもありますし、気に入らなくて自分のモデルを新たに作り出すこともあります。多くの製作者は自分のモデルを持っておりますが、ストラディヴァリやガルネリのモデルに自分なりの改良を加えて、自分のモデルとしているのが多いです。実際は、いろんなタイプの楽器に挑戦して、自分に会うスタイルやモデルや音を試行錯誤して見つけるものだと思います。いまの私はこの段階かな~!
膨らみも、モデルや理想とする音の結果出てくるものだと思います。アマティの型にガルネリの膨らみをつけると、スタイル的にも音的にもちぐはぐになるのではないでしょうかね。わたしがわかることはこの程度ですが・・・。

