サント・セラフィンモデル製作過程6
2007年 08月 03日
みんなバカンス中なので、外に出歩くことが少なくなりました。
その分、私は工房で仕事です! その割りに仕事は遅いですが・・・(笑)
さて、この前から取り掛かっているネック(スクロール)、
まずは第1周目を仕上げていきます。
この後、一気に第2・3週目を彫り、全体を仕上げていきます。
写真は渦巻きが完成したところ。
この渦巻きの作業、1つ1つの工程をきっちりと仕上げていきますが、完全に仕上げてしまわずに「紙一重」の余分を見こして仕上げていきます。あとで全体のバランスを見て修正できる部分を残すためでもあります。また、後の作業で刃物で汚れたり傷ついたりすることもあり、一番最後に全体を「紙一重」だけ削り込んで仕上げます。
たとえば、この渦巻きも第1周目を彫った段階では渦巻き全体の雰囲気はまだ見えず、とりあえず描いた線をもとに少し余分を見越して削りこみます。
この後、第2・3周を終えて渦巻きの全体ができてから、今度は第3週目から逆にラインがなだらかにつながるように全体を仕上げていきます。
この「紙一重」というところがポイント! 1つ1つの作業は、ひとつ前の作業で完成した面を基準にしていきますので、余分を見越しすぎると次の作業が正確でなくなりますし、後で正確に修正することが難しくなります。なにせ立体3次元の渦巻きですからね~!
しかし、マニアックすぎる話題ですね~。興味の無い人は読み飛ばしてください。(笑)
さて、渦巻きの側面が終わると、次は正面・背面の掘り込み・・・と思いきや、その前に糸巻き箱を彫ります。別にきちんと綺麗に彫れるならば、いつ彫ってもいいのですが・・・。糸巻き箱を最後に彫ると、せっかく仕上げた渦巻きの正面や背面を傷つける危険が大きいのです。糸巻き箱の作業は、荒々しい力仕事でもありますので! ですから、私は、渦巻きの側面が完成して、糸巻き箱の幅が決まったこの段階で、糸巻き箱彫りをしております。
というわけで、糸巻き箱の作業です。
まずは、電動ドリルで荒彫りのための穴をぼこぼこ開けます。
この作業、ドリル刃に「めやす」のためのテープを貼っております。深く穴を開けすぎないようにです。でも、穴を貫通させてしまいそうで、怖~い!!! 幸い私は今までに貫通させる失敗はありませんが、学校などで貫通させてしまった人を何人か見ております! なんどやっても、やっぱり怖い!
今回も無事に穴を貫通させることなく、糸巻き箱が仕上がりました。ほっ!
僕はドリルではなく電動ドライバーを使います。回転がわりとゆっくりなのと、逆回転が出来るので重宝します。
大昔、一度だけ穴を開けちゃった事がありました。まあ、ご愛嬌ですが。。。
暑い中、ご苦労様です。私もフランクフルトで5回エアコンのない夏をすごしましたが、家はともかく、エアコンの無い車でアウトバーン(つまり窓明けは困難)を数時間走ってイタリアなんぞへドライブすると、それはもう我慢大会です。 真夏にコタツにちげ鍋感覚。 でもそれも食べたいなあ。
どんな偉大なマエストロでも、一度は穴を開けたことがあるみたいですよ。ということは、幸いに今まで貫通させたことがない私は、これから危ないということでしょうか・・・! やっぱり、未だに緊張する作業です。
今回のサント・セラフィンのモデルは、言葉で言うと「小柄」で「繊細」で「上品」になるでしょうか。ひとことで言うと「かわい~」モデルです。今風に言うと「萌え~」。(←これは少し違うかも)
ガルネリは全く逆で、「男性的」で「荒々しい」です。
でも、今回発見しましたが、スクロールの幾何学的な巻き方は、サント・セラフィンとガルネリは不思議と似ております。特に2周目の大きな巻き方と、3周目の掘り込み具合に近いものがあります。面白いですね。不思議な共通点です。
着々とステキな楽器ができてきていますね。
それにしても、作家のラベル(なんというのか・・すみません)、出来上がった後にF字孔からピンセットで張るものと思っていたので驚きました!
素人はこの仕事の細かさと、段取りに驚くばかりです。。。
お体に気をつけて励んでくださいね☆
ラベルは出来上がってからでも入れることができますが、貼りにくいしf字孔を傷つける可能性があるので、胴体を閉じる前に貼る方が無難です。コンクール用の場合は、無記名でないといけないのでラベルや焼印は貼りません。コンクールが終わってから、ピンセットでラベルを貼ります。焼印は後からでは無理ですね、胴体を開けない限りは。
仕事は細かいですが、段取りはうまくないですよ、私は。段取りよく仕事できたら、もっとスムーズに進むと思うのですが・・・(笑)
また、次回の作業、楽しみにしていてくださいね。
銅版画でかっちょいいラベルを作りたいと思いつつ、日々の多忙さで未だにとりかかれず、こんなのもいいな、あんなのもいいなと夢は膨らむ一方です。(笑)
でも、重要なのは焼印やラベルではなく、もちろん楽器本体ですので本末転倒しないように気をつけております。でも、ラベルにもこだわりたいしね。
スクロール巻き数が普段と異なるのに、うまくバランスよく仕上げられるのはお見事ですね。
最近の作業ですが、ドリルを使い慣れているという自負心から油断したために、横へずれてしまったのが悔やまれました。何事も謙虚が大切ですね。このくらいの太さのドリルがよさそうに思えますので、また太さを変えてやってみたいと思います。
ところで糸倉のスクロール側は、太目のドリルを使いますか?それとも鑿だけで仕上げますか。よろしければ御教示下さい。
そうそう、よく気づいていただけました。スクロールの巻き数は4分の1巻きほど多いですね。オリジナルはさらに巻き気味ですが、正面からの雰囲気が壊れるので、今回はほどほどにしました。(つづく)
ドリルでは早く気軽に穴が開くので、注意が必要ですね。はたさまからのコメントであったように、電動ドライバーにドリル刃をつけてゆっくり回転させた方が、慎重に穴があくでしょうね。糸倉を彫る場合、私はネックに近いほうから、5ミリ、4ミリ、3ミリの穴で下穴あけします。スクロール側の端は3ミリのドリルで横に2つ下穴を開ける形になります。ドリルの刃が入りにくいですし、斜めになりますので、小さい丸ノミである程度えぐって直角に刃が入るようにします。大きな径のドリル刃でずどんとひとつ開ける方法もありますが、スクロールの中心を傷つけてしまう可能性があります。どちらにしろ、最後はノミだけで仕上げます。
ちなみに、今回のサント・セラフィン、オリジナルはこの部分丸くなっております。(ドリルの跡ではないでしょうが、そういうスタイルです) そのため今回も丸ノミでそのようにしております。次回に紹介したいと思います
~。